政治と情念 権力・カネ・女 - 立花隆 - 小説・無料試し読みなら、電子書籍・コミックストア ブックライブ
2016年、ときならぬ角栄ブームが起きた。 1974年に「田中角栄研究ーその金脈と人脈」を発表し、田中総理退陣の先鞭をつけた著者はこう書く。 「田中角栄になぜそれほどのパワーがあったのか。(中略)なんといってもその根底にあったのは、角栄の不思議な人間的魅力だったといえるだろう」 また、こうも言う。 「田中角栄は情念の人だった」 本書は発表当時、世間の耳目を集めていた角栄の長女、真紀子元外相の分析を入り口に田中角栄の人生を振り返り、さらには日本政治における「角栄の遺伝子」問題を研究した書である。
田中真紀子を描く本。2005年。田中真紀子研究という単行本が、文庫化するにあたり本タイトルとなった。旧タイトルどおりに序章と結末では田中真紀子をメインに話を進めているものの、中盤のほとんどの部分では父である田中角栄を中心にストーリーを展開している。良くも悪くも父親の影響を受けている娘について語るときに、このような展開になるのは当然であり、タイトルを変更しているのにも納得する。金権政治を壮大なスケールで確立した角栄の政治手法を、真紀子が前面から否定している点が面白い。彼女の主張する政策はごくごくまっとうなものが多く、角栄の築いた土壌に慣らされている旧来の政治家たちは真紀子の主張を受け入れない。これを徐々に解決していくことが彼女の大きなミッションであろう。日本初の女性首相になりうる血筋とポテンシャルをもっているだけに、今後どうなるのか彼女の活動に注目したい。